アートのある日常をおとどけします
~いきものがたり展@岩見沢アールブリュット・ギャラリー~

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現在開催中の「いきものがたり展」に以前まめぷろマガジンでも紹介した今井啓介さんが出展なさっていると聞き、伺ってきました。
今回の作品展には、今井啓介さんをはじめ、笹谷正博さん、武田憲宗さん、Haruki Matsumoto.さんの4作家による「いきもの」をテーマとした作品が集められています。

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▲緻密に色を重ね、優しさと躍動感が共存する今井さんの作品 ▲しましまの動物たちに笑みがこぼれるHarukiMatsumoto.さんの作品
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▲ビビッドな色遣いに魅了される武田さんの作品 ▲独特の世界観が嬉しい笹谷さんの作品

4名の作品は作風も画材も様々ですが、どの絵も観ているだけで気持ちが明るくなりそうな世界観があり、理屈抜きで元気になれるエネルギーがあります。
ちょっと落ち込むことがあったときも、ここに来れば回復できそうな、そんな鮮やかな作品が勢ぞろいしていました。
開催期間は令和5年7月4日(火)までとゆったりした設定となっているのもこのアート展の魅力です。
気に入った作品があれば何度でも足をお運びいただけます。

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いきものがたり展開催概要
会  期 令和5年5月9日(火)~令和5年7月4日(火)
場  所 岩見沢アール・ブリュットギャラリー
(岩見沢市4条西3丁目3)
出展作家 今井啓介、笹谷正博、武田憲宗、Haruki Matsumoto.
開館時間 午前10時~午後5時
※休館日は、水曜、日曜、祝日 となっています

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日常生活にアートがゆったりと溶け込む空間

岩見沢市は、障がいのある人もない人もともに自分らしく暮らす「共生のまちづくり」に力を入れています。
様々なサービスや取り組みを行っており、このアール・ブリュットギャラリーの運営もその一つ。
商店街のメインストリートに面した好立地ということもあり、常連さんはもちろんのこと、どなたでも気軽に訪れることのできる場となっています。
どんな方がいらっしゃいますか?と訊くと、その答えは信号待ちの間にふらりと立ち寄る方、色とりどりの作品に歓声をあげるお散歩中の幼稚園児、雨宿りのついでに覗く方…、と実に様々。
その秘密は居心地の良さにもありそうです。

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▲ お話を伺った岩見沢市福祉課の内山主幹とギャラリー管理の横川さん

白を基調とした明るい空間のギャラリーに、横川さんの優しい応対。
じっくり静かにアートを見たい時にも、作品や作家さんについて説明を受けたい時にも、その時々に応じて丁寧に接してくださるので、ついつい長居してしまいます。
また、床上120センチの高さに作品が揃えられているのは、車いすの方への配慮からです。
下から見上げて首が疲れたり、アクリル板が光ってしまってよく見えなかったりすることもありません。
このような細やかな配慮ひとつひとつが「共生のまちづくり」を具体化しています。
そのために、市では学芸員の資格を持つ方からの意見を取り入れるなどして、専門的な視点での取り組みを行っているそうです。

こうして、岩見沢アール・ブリュットギャラリーは、各地の作家さんの作品を展示し、岩見沢市民だけでなくたくさんの方々に新しいアートとの出会いを提供しています。
北海道アールブリュットネットワーク協議会とも密に連携をしながら様々な発信をしており、北海道外からのお客様もお見えになるとのことで、この取り組みの注目度の高さがうかがえます。

そしてまた素敵な出会い

内山主幹と横川さんのお話を伺っていると、一人の女性がギャラリーにお越しになりました。
なんと、以前のアート展に出展していた佐藤晴美さんでした!

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佐藤さんのお母様がまとめた作品集が出来上がったので、一部おすそ分けにいらっしゃったとのこと。
できたてほやほやの作品集、私も拝見させていただくことができました。
「お母様が『出来上がるまで内緒にしててね』っておっしゃってたのよ。」と声をかける横川さん。
このギャラリーが、『作品を作る人と展示する側』という垣根を越えて、心が通い合う場でもあることを目の当たりにすることができました。

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▲佐藤さんと横川さん

普段は事業所で作業に励みながら、アート活動を続けられている佐藤さん。
ご自身の作品を発表し、交流する場があることは、さらに佐藤さんを創作へと誘う原動力にもなっていることでしょう。
岩見沢アール・ブリュットギャラリーが創作に携わる方々の優しいよりどころとなれますよう、今後も期待したいですね!