ススメ!育休取得!

2021年6月3日 改正育児・介護休業法が成立。その中に「男性版産休」「義務」の文字が散見されたことから「男性の育休が義務化?!」という情報が錯綜しましたが、そうではありません。
よくよく資料を読んでいくと、法改正案の骨子は以下の3点に分類されます。

  1. 出生時育児休業制度(男性版産休)の新設
  2. 企業側から従業員への通知と取得促進の義務化
  3. 育休の分割

つまり、義務化されたのは育児休業の「取得推進」についてであり、必ず男性が育児休業を取らなくてはいけないということではありません。
ただし、従来努力義務にすぎなかったものがひきあげられ、違反した場合は労働局から指導や勧告を受ける場合がありますので、注意が必要です。
では、事業所は、どのような方法で取得推進をしていけばよいのでしょうか。

まずはみんなが「自分ごと」に

日本経済新聞社の調査を読んだところによると、この法改正で男性が育休を取得しやすくなるかという問いに、半数超が「思わない」と回答したそうで、多くの職場で依然「育休が取りにくい雰囲気」があるようです。
しかし、戦後日本の歴史を振り返っても、男性が育休を取得することがメジャーではない時代が圧倒的に長かったのが現実。
必要性はわかってはいるが、染みついた慣習を即座に覆すことはなかなか難しい、そう苦悩する管理者の方もいらっしゃるでしょう。
また、育児未経験であれば何がどう大変なのか、正直わからないこともあるでしょう。
そこでまず、「知る」ことからはじめてみませんか?
性別に関係なく、育休がなぜ必要なのかを、社会の問題として自分ごとに置き換えて知っておくのが、これからの社会人としての嗜みと言ってもよいのかもしれません。

時短勤務やテレワーク…柔軟な働き方の導入

育児・介護休業法では、事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる、短時間勤務制度を設けなければならないと定められています。
なお、何歳までの取得を可能にするかは各事業所の判断となります。

どう連携したら、育休取得者が抜けても負担なく業務が回せるのか、育休取得推進のキャンペーンを考えるのは、実は事業計画を見直すことにもつながります。
「人手が足りなくなる」と考えるのではなく「仕事のやり方を考えるチャンス」と考え、業務の棚卸のきっかけとしてはいかがでしょうか。

わが社にも新米パパ続々登場!

最後に弊社S田氏の育休パパ奮戦記をご紹介します。
※愛情大爆発ゆえ、一部濃ゆい表現がございますことをご了承ください※

パパスペック:
4月第一子誕生(男児)
奥さんがかなりのしっかり者。奥さんが大好きであることを公言してはばからないことは社内でも有名な話。

まずは第一子ご誕生おめでとうございます。 育休取得状況を教えてください。

2021年4月22日に息子が誕生し、5日間の入院を経てから14日間の育休を取りました。もっと触れ合っていたい気持ちはありましたが、我が家は妻と相談の結果、この期間となりました。

コロナ禍で出産の立ち合いも制限される中、奥様とこの出産を乗り切ったときの気持ちは。

痛みに耐え、頑張る妻の姿を見て、『この勇敢な兵(つわもの)を全霊をもって支えるが夫の宿命(さだめ)』と心が叫んだのです。
そこから3時間ほど、妻と私はさながら、決死の覚悟でリングで戦うファイターと、必死の応援で支えようとするセコンドでありました。
そして生まれる新たな命。儚くも尊き生のきらめき。Welcome to my life.

(…濃ゆいな…)入院中は面会禁止だったということで、退院してからが育休本番となったわけですね。
S田氏には強力な助っ人がいたということでしたが。

そうなんです。妻の両親がしばらく手伝ってくれていたのも、育休期間が比較的短かった理由です。もし助っ人がいなかったら、もっと長く、何カ月の単位で育休をとる必要があったと思ってます。本当に義母には感謝の言葉しかないですね。
なにせ義母は3人の子供を育て上げ、さらに3人の孫をあやしてきた猛者です。ものすごく心強かったです。
いろいろと育児の心得を教えてもらって、本当に気持ちが楽になりました。ネットで育児の心得を検索するよりも、経験者のお話を聞くのが一番ですよ。
ネットで検索なんかしたら不安になるばっかりだから!これはマジでやめた方がいいです。これから赤ちゃんが生まれるご家庭のみなさん!下手に検索しないで、周りの人の話を聞こう!

育休中にやったことを教えてください。

まずは諸手続きです。生まれたばかりの息子と妻はもちろん外に出すわけにいきませんので、出生届の提出や育児手当の申請は当然、夫が担います。役所はいつも混んでいますから、事前に準備をしておくとスムーズです。我が家は妻が事前にまとめておいてくれたので何も迷いませんでしたが、本来なら私がやるべきだったなと反省しています。しっかり者の妻には頭が上がりません。あと可愛い。

ちょいちょいのろけてくるのはスルーするとして、14日間の間にも赤ちゃんは劇的に変化をとげ、毎日が発見だったと聞いていますが。

昼間よく寝て、ミルクもたくさん飲んで、生活リズムも安定してきた、私もおっかなびっくりだった沐浴にも慣れてきて…と思ったら育休5日目くらいから、夜中の大爆発が発生し始めました。おなかいっぱいですぐ寝るはずが、全然ダメダメで、ギャン泣きが止まらなくなりました。音楽を聞きながらあやして泣き止むのを待ってみることにしたら、アルバムを丸々1枚聴き終わるまで、ずっとぐずり通しでした。おそるべき赤子の体力です。この時から予感はしていたんですが、大方の予想通り、深夜のギャン泣きが日常化することとなります。 泣き、喚き、手足をぶんぶん振り回し、体をハチャメチャによじって、とにかく暴れます。その暴れっぷりは、もはやインクレディブル・ハルク。アベンジャーズにいるうちは地球を守るヒーローですが、うちで暴れられたらたまったもんじゃありません。

赤ちゃんをあやすのに特に苦労したことや解決策など、教えて下さい。

色々検索してみたんですけど、泣き赤子を必ず落ち着かせる魔法のテクニックは無かったですね。そりゃ赤ちゃんも人間で、それぞれ個性があるわけなんで、汎用性のあるあやし方なんて無いですね。 ミルク、おむつ、抱っこ、その他考えられる可能性を全部試すしかないわけです。うちの子は横抱きよりも縦抱きの方がちょっと好きかな?くらいしかわかりません。 それで泣き止まないなら、あとは覚悟を決めて、収まるまで何時間でも妻と代わりばんこにひたすらあやしまくります。 この、「終わるまで付き合う覚悟を決める」ということを意識してからは、だいぶ気が楽になりましたね。

「終わるまで付き合う覚悟を決める」。シンプルかつ一番難しい方法ですが、実感がこもっていてとても伝わります。 やってみないとわからないこともたくさんあると思いますが、育休を終えての今の生活の様子と、これから育休を考えている方々にメッセージをお願いします。

貴重な育児休暇は終了し、いまは仕事と育児の両立を頑張っております。 近頃のわが子は本当にハチャメチャに暴れてミルクを欲しがるんですね。 七つの大罪のうち、すでに強欲‐Greed-、暴食-Gluttony-、憤怒-Wrath-の3つを犯していますね。これでとっても可愛い姿をしてるもんだから、ほんとに罪な存在ですよ、赤ちゃん。天使のような悪魔の笑顔、私の家にあふれております。 これからの若者に言いたいことは、『まとまった期間、妻と苦楽を共にできるのってスゲー大事だから!とっときな、育休!休暇って言っても休む期間じゃねぇからな!ちゃんと我が子と触れ合え!』 ということですね。

幸せで濃すぎる愛情たっぷりのインタビューをお届けしました。
育休をとり、育児の大変さを肌身で感じ、また家族はみんなで作っていくものという意識が強くなったS田氏、仕事に復帰してからは、守るものが増えた頼もしい父として日々頑張っております。

余談ですが「へその緒は食べかけのイカ燻製のカケラみたいだった」とのこと。独特な感性が仕事にも良い方向に活かされることを願っています。

育休取得前は、一人スタッフが減ることへの不安がなかったわけではありません。
しかし、事前の打ち合わせ、引継ぎをしっかり行うことで、仕事の見える化を見直す機会となりました。また、短くも充実した育休を取ったことによる家族の絆の深まりが、仕事への一層のエネルギーになっているようです。
家族にとっても会社にとっても結果としてプラスだったと断言できる育休。ぜひご参考になさってください。