いよいよ直前!技能五輪全国大会~造園種目出場選手を突撃~

いよいよ来週に迫ってまいりました、技能五輪全国大会。造園種目の北海道大会を取材させていただいたご縁で、全国大会出場選手に直前インタビューが叶いました。

造園職種の代表選手は、まっすぐな情熱がまぶしい高校2年生

北海道から今回の東京大会に出場するのは6種目14名の選手たち。
その中の造園職種で出場なさるのは 辻 志明(つじ ここあ)選手です。
辻選手は北海道岩見沢農業高等学校2年の現役高校生。
学業に励みながら、放課後は自身の属する環境造園科の学科長である山口教諭のご指導の下、本番に向けて技術を磨く毎日です。

さて、お忙しい中お時間を割いていただき、編集が取材に伺ったのは放課後。
12月ともなればもう日は短く、生徒さんたちは薄暮の校舎を背に、ぼちぼちと家路につく時間です。
そんな中、ひとつだけ明るく灯がともる作業棟があります。お邪魔すると、課題に黙々と取り組む辻選手の姿がありました。

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―全国大会出場が決まったときのお気持ちと、周りの反応は
「まずは素直に嬉しかったです。学校の友達も『おお、おめでとう!』という感じで、喜んでくれました。家族は自分が練習をしていたことは知っていたので全国大会と聞いて驚いた感じはなかったですけど、お前ならやれる、と信じてくれている感じでした。」
「予選(全道大会)の時は、正直学校の中ではうまい方ではあるので、一位にはなれるだろう、という自信をもって取り組んできましたが、全国大会にむけて練習をしていくなかで、やはり全国レベルとなると出場選手の層も違うので、大口たたけないな、と思いながら今は頑張っているところです。」

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全国大会に向けて地下足袋も新調。気合い入ってます!

時には、ものづくりマイスターとしても活躍している現役の造園職人の先生にも指導を受け、毎日夜遅くまで練習を重ねています。
熟練の職人さんからは学ぶことがたくさんあるとはいえ、沢山指摘を受けたときには、少年らしくムッとしたり反抗したくなったり、ということはないのでしょうか。
そう尋ねると、
「経験豊富な先生方のアドバイスは納得できるところしかないですし、手さばきや指摘は全部吸収してやろう、という気持ちで聞いているので、そういうことはないですね。」と即答。
その瞳には力が宿り、まっすぐで、愚問であったことを恥じつつもストレートに心を打たれました。
素直さと熱意、これは年代問わず私たちも持ち続けたいものですね。

更に土日となれば、朝8時から1日中、黙々と取り組み続けているとか。
その集中力は山口教諭も舌を巻くほどです。
例えば、課題練習の中で取り組んでいる野面石積み。
お城好きな方なら耳にしたことがあるかもしれません。
これは石垣の組み方の一つで、同じ形は二つとない自然の石同士を組み合わせて積み上げる手法です。打ち込み接ぎや切り込み接ぎと違って石が成形されていないため、一つ一つパズルのように組み合わせていかねばならない、根気のいる作業です。
制限時間内に課題の既定のサイズに合うように揃えて積み上げていくのは更にプレッシャーもかかり大変な作業。
それでも途中で投げ出すことなく、コツコツと練習を重ね、作業場には既に2台の石垣が出来上がっていました。
山口教諭はこうおっしゃいます;
「今の時代は出来上がったものを簡単に手に入れられるようになりましたが、そうではなく、揃わないもののなかから選んで積み上げていく、という『作る過程』にも粘り強く取り組んでいます。練習の成果があって、何とか自分の力で、限られた時間の中でできるようになってきました。この頑張りは技能五輪だけではなく、これからもいろいろな場面で活かされると思います。」

時間配分もぬかりなく

本番では2日間に渡り、10時間かけて課題を完成させていきます。
課題の内容は予選のときよりも更に複雑で、時間とのたたかいとなることは必至。
どの作業にどのくらいの時間を割けるか、どういう工程で取り組むか、という時間配分を意識した行動計画を綿密に立てていくことも、技術と並んで重要な練習になります。
数ある作業の中でも得意不得意は若干あるそうで、ホワイトボードに書いては消しての試行錯誤を繰り返しながら作業工程を組み立てているそうです。
「あと2週間ありますからね。伸びしろはまだまだありますよ。」と辻選手のポテンシャルを信じ、指導にあたる山口教諭。
文字通りの二人三脚で、本番に臨みます。

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予選の時も今回も、辻選手といえば、作業している場所がきちんと整頓されていて、見ていて気持ちのよい仕事が印象的でした。
また、「必須ではないけれど、このひと手間を加えることで仕上がりに差が出る」というような見えない作業の手間を惜しまない方であるとことにも感嘆しました。
東京の空の下でも、辻選手の良さが光る作品ができることを期待しています!

最後に、辻選手の抱負を。
「もうあとちょっとしか練習期間はないですし、全国レベルの中での競技にはなりますが、最年少で出られるのはこの機会が最初で最後なので、なんとか爪痕をのこしてきたいと思っています。 将来的にもそれは絶対につながると信じています。 なので、『人生一度きり』という気持ちで頑張ってきたいと思います。」

技能五輪全国大会はいよいよ12月17日から。
若く熱い戦いに乞うご期待!

大会概要
日時:令和3年12月17日(金)~12月20日(月)
競技会場:東京ビッグサイト 他
※造園職種の会場は木場公園
大会公式HP
https://tokyo-ginou-2021.jp/