新しくて優しい、まさに「BestLifePartner」。相談室Be Happy

合同会社BestLifePartnerさんを訪ねました。

まずは代表の西町さんのご紹介。

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西町 敏弘 略歴
大学卒業後、民間会社の人事採用担当を経て、障がい者福祉の世界へジョブチェン。
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、ケアマネージャー。
相談支援の委託事業所などを経て、令和3年 BestLifePartner を立ち上げ。
人に「関わる」ことを大切にしており、就労系の相談を得意とする。

もともとは企業の人事採用の担当として、学校訪問や企業説明会をはじめとした学生のケアや、採用後の定期的な個人面談などをなさっていた西町さん。会社の事業拡大に合わせて地方出張も精力的にこなす、多忙な日々を過ごされていました。
忙しい日々を経て、30代半ばで障がい者福祉の業界へ転職。
こうと聞くと、かなり思い切った選択では?と思いますが、ご本人曰く、日頃から車いすや様々な障がいをお持ちのお客様の対応も多く、その選択は特別なことではなかったとのこと。
また更に遡ると、子どものころから、お父様に夏祭りや雪まつりのたびにボランティアに駆り出されていた経験があり、障がい者の方と過ごす日常は身近なものだったそうです。
「当時は『なんでも手伝わせやがって』と思っていましたけれどね。」と笑う西町さんですが、その経験が今に生きていることがにじみ出ています。

その後、委託相談支援事業所などを経て、令和3年8月に合同会社Best Life Partnerを登記。翌年1月から相談室「Be Happy」をスタートさせました。3か月ほどで登録者利用者数は100件を超え、無登録の方を加えると140件超の方と関わりながら、またまたご多忙な日々を過ごされています。

居心地のよい場所。気晴らしできる空間。
それが相談室BeHappy。

さて、事業所へとお邪魔すると、清潔で明るい空間がお出迎えしてくれます。
相談に来た人が緊張しないようにと、西町さんのさりげない心遣いとセンスが随所に光る相談室です。

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▲ リラックスして過ごせるような空間の工夫がいろいろ

ホームページも一味違います。「相談室の選び方」を教えてくれる相談室、なかなかないと思いませんか?
これも西町さんが相談員として携わってきた経験から生まれたものだそうで、
「相談室を設ける事業所は多いですが、5年の現場経験を積んで研修が受けられたからといって、研修したら誰でも相談員としてやれるわけではないですよね。相談員それぞれにも得意不得意がありますし。一方で、相談される方はどこに行っていいのかわからない、っていう人が圧倒的なので、こういう形になりました。」
と説明してくださいました。
更にご自身を例にとった、わかりやすいお話が続きます。
「例えば、僕は就労系の相談を得意としていますが、逆に児童はやっていません。やはり児童の相談は、養護学校教諭とか教師の経験をお持ちの方が強い。ケアの仕方を知っているし、学校との横のつながりなんかもありますしね。なので、その方の必要なことに応じて、もっと詳しい方がいればそちらを紹介するようにしています。」
相談に来た人に最適な相談室につなぐため、各方面との連携は欠かせないとのこと。
それは事業所につないでいくときも同じです。
「委託事業所にいたときからなんですけど、日頃から事業所に行き、本人が働いてる様子をみてくるようにしていますね。肌で感じることを大事にしているんです。そこで働く本人の様子ももちろんですが、周りの利用者さんの様子も見てくる。お話を聞いてほしい利用者さんもいれば、黙々と仕事してシャットアウトしてやりたい人もいるので、それぞれの雰囲気をつかんでくるようにしています。」
とおっしゃっていました。
また、
「ご縁あってお世話になるところなので、長くいてもらいたいですよね。『相性』というのはやはりあるので、相談に来た人の話している雰囲気や、好きなものの様子、こんなの嫌いだよ、こんなところでつまづいてきたよ、と言う話を聞きます。そうすると、あそこかな、ここかな、って浮かんできますね。」
とも。
実際に目で見て、感じているからこそ、選定の際の引き出しがたくさんあるのですね。

ゲストルームも併設したのにはこんな理由が。

前掲の写真やホームページから、ゲストルームがあることに気づかれたでしょうか。
相談室にゲストルームがあるのは結構珍しいとおもいますが、、西町さんにとってはその人に寄り添うために必要な設備でした。
「役所などに相談しても『じゃあショートステイさがしてね』という流れになり、結局行き先がない、どうすればよいのかわからない、ということがあります。また例えば、DV被害者を避難させたくても、警察には『まずはどこでもいいから、ホテルでも行って』と言われてしまう。」
決してこれは役所や警察が不親切だからではありません。単純につないでいく先がないだけなのです。
だからこそ西町さんはゲストルームを用意しました。「避難先をこれから探さなくてもいい」ということは、当事者にとってどれだけ力強いことでしょう。
相談を受理して終わりでなく、その先のその人の生活を考えるのも自分の役割だと、西町さんは教えてくださいました。

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▲ ゲストルームの壁を彩る素敵な写真は利用者の方が撮ったもの。思わず見入ってしまう作品の数々です。

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▲ ゲストルームを利用する方のプライバシーにも配慮し、細やかな心遣いが行き届いたお風呂場やお手洗い。
明るく清潔感のある印象です。

また西町さんは「気晴らし」という言葉をよく使うそう。
これもまた、時間から時間で終わる「仕事」としての相談員ではなく「パートナー」としてその人に寄り添いたいという気持ちの表れです。
その人に困りごとがあれば「じゃあ、話を聞こうか」「一緒に解決しようか」というスタンス。
気持ちがふさいで事業所に行けず、うつうつとして部屋に閉じこもっている利用者に、気軽に「じゃあ、どこかに気晴らしにいくかい?」と誘ってみたり、
週末ずっと寝られなくて、ホテルを転々をしていたりする利用者の悩みを聞いて
「じゃあうちに泊まれば?」と声をかける。
関わりをもったからには「ほっとけない」という姿勢が様々なエピソードからも伝わってきます。
そして、気晴らしができる関係になるにはまず、ご自身がオープンマインドでなくてはならないというのが信条です。
「上っ面だけの話だったら、その人がどういうことを考えているのか、どういう気持ちで生活しているのか、じゃあどこにつなげてあげればいいのか、っていう話までは続かないんですよね。表面だけの付き合いでは、ハイどこか紹介しました、数か月後辞めました、ってことになってしまうので、そんな知らんぷりみたいなことはしたくないですね。逆に受け入れる事業所さんにとっても『どんな人が来るのかな』というのは気になるところだと思うので、その人の良い話もしますけど、ダメなところの話もします。こういうところもあるんですけど受け入れできますか、とオープンにしていかないと信頼関係はできないですからね。」

デジタルデバイスで便利につながる

ひとりひとりにじっくり向き合い、大切にしていくと、かなり時間がかかるのでは?という課題にはデジタルデバイスが一役買います。
契約書一枚からでも、つながりを持てばパートナー、という西町さんは、利用者に携帯電話の番号もラインIDも共有。すぐに電話に出られないときも、「既読」がついたらちゃんと気にかけている証拠だからね、と不安を取り除くようにしています。
すぐに駆けつけられなくても、ちょっとしたことで安心していただけることが可能です。
20年前だったら連絡手段がなくて難しかったかもしれないことも、スマホなどのデジタルデバイスの普及により、新しい形でつながることができるようになりました。
「使えるモノはなんでも使う」という一言は、まさにその通りだと思います。

これから相談室を利用する方、西町さんに寄り添ってもらいたいと思っているかたへのアドバイス

最後に、西町さんからこれから相談室を利用される方に一言いただきました。

「相談室っていうのはその人の人生に関わっていく、パートナーになっていくところなので、本当に信頼できる人、信頼してついていける人を探して下さい。相談員は皆心の中に「寄り添いたい」という気持ちを持っていますよ。」と西町さん。社会には様々な制約があって、物理的に無理な事情もあるかもしれませんが、相談員はその人のことを真剣に考え、寄り添いたいといつも思っています。困ったときに相談できる拠り所、それが西町さんの描く相談室なのです。

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▲ 取材に訪れた我々にも美味しいお茶でおもてなししてくださいました。
テーブル奥にさりげなくおかれているフォトブックも利用者さんが撮影し作成してくれた、西町さんの家族の写真です。
写真の腕はもちろんのこと、西町さん家族のあたたかさ、利用者さんとの信頼関係が深いことが感じられるフォトブックでした。

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▲ お茶の下のコースターも、イラストレーターの利用者さんが、オリジナルデザインを作成し、プレゼントしてくださったものだそう。

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