地域の健康を守る まつもと薬局 Vol.2

前回に引き続き「まつもと薬局」のご紹介です。
まつもと薬局では介護事業も展開しており、地域の高齢者へのケアも行っています。
また、多彩な事業展開を束ねるために、なくてはならないのが事務部門。
各部門のスタッフへのインタビューをお伝えします。

「介護はかっこいい」!介護事業部

ネオリハ外観

まつもと薬局の機能訓練特化型デイサービス「ネオリハ」は帯広市内に2か所展開されています。
そのうちの一つ、わかば店では午前と午後それぞれ15名前後の利用者を受け入れています。送迎、体調管理、血圧測定、運動、と目まぐるしいスケジュールの中心となって動いているのが理学療法士の伊藤俊貴さんです。
ここでは2グループに分かれて1時間半ずつ、マシンを使った運動と集団体操をするのが定番。
途中休憩が入るとはいえ、3時間の活動は、なかなかの運動量ではないですか?と尋ねると、伊藤さんは笑って頷きます。
「そうですね。特化型という認識でよいと思います。レクレーションよりも体を動かすことを重視する方が3時間運動に来る、という感じです。健康に対するモチベーションが高い方も多いですね。」

理学療法士の伊藤さん

▲ 笑顔が素敵な理学療法士の伊藤さん。

とすると、予防の方や比較的お若い方が多いのかと想像しましたが、構成を聞いてびっくり。
平均年齢は85歳、麻痺の方も多いといいます。また、大型マシンもたくさんあるジムのような施設といえば男性が多いのかと思いきや、利用者の7割は女性!
「女性の健康志向が強いというのもありますが、男性の方がもしかすると『食わず嫌い』の方が多いのかもしれません。でも、一度来ていただくと楽しいということがわかっていただけるはずです!」と伊藤さん。
年齢は思っていたより高めですが、皆さん若々しく元気な方ばかりでだそう。運動しながらおしゃべりをするのを楽しみに通われている方も多く、ネオリハが生活の一部として機能していることがうかがえます。
さて、このネオリハを支えるスタッフは総勢7名。理学療法士の伊藤さんはじめ、看護師、介護福祉士や管理栄養士、社会福祉主事など様々な資格を持った方々で構成されています。
伊藤さん曰く、女性スタッフはコミュニケーション力が高く人一人の気持ちを引きだすのが上手だし、イケメンは人気です、とのこと。
意外なことに、伊藤さんご自身はネオリハに来た当初は利用者との関わり方に悩んだ時期もあったそうです。
前職の病院勤務との違いを聞くと、 「病院に比べ、施設は利用者と関わる時間が密なところが一番違う点かもしれません。ここに通われる方がみんな仲間、といった形で接するので、お互いの信頼関係も深いと感じます。」とのこと。
一対一で指導する病院とはまた違った関わり方ができ、この3年で関係の築き方をたくさん学んだという伊藤さん。
以前は苦手意識のあったデスクワークも、利用者一人一人の要望と状態に合わせて三か月に一度計画書を立て直す作業を繰り返す中でその大切さを認識する毎日です。
その見直しに当たっては、体力測定(握力、片足立ち、歩行速度)が重要なキーとなります。結果がよくなっていればもちろん負荷をあげますが、変わらないもしくは下がっている場合には負荷量を下げる場合もあります。これも、長く通っていただくためには必要な判断だそう。
計画の見直しとともに毎日きめ細かい観察が必要とされるお仕事です。

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最後に、今後のネオリハへの熱意を伺いました。
「帯広に根差した機能訓練特化型施設として認知度を高めたいです。患者さんのご要望にあわせて、歩けない人が歩けるようになった、という回復の形を作っていきたい。歩けるようになるところに持っていく運動指導をするのが僕の目的なので、歩けなくて困っている方が通いたい施設にしたいと思っています。」

こだわりのジャージ

▲ ネオリハのスタッフが着用しているジャージにもこだわりがあります。
統括責任者の河江さんたちが、ネオリハ立ち上げの際「動きやすくかっこよくしよう」「介護はかっこいい仕事なんだって思われる制服にしよう」というコンセプトでスタートしたことに由来するそうです。

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縁の下から飛び出すプロ集団 事務部

ここまでまつもと薬局の多様な業務を紹介してきましたが、それぞれがバラバラに動いていては会社としてまとまりません。
それをバックヤードでまとめているのが事務部の皆さんです。
事務課長の髙橋理江さんにお話を伺いました。

事務部の一日は、各薬局に来客する患者のための環境整備から始まります。
店内外の清掃や備品整理は、美しくかつ迅速に行われます。
患者が来局されると一番に接するのも、窓口にいる事務部の皆さん。処方箋をお預かりし、薬剤師が調剤している間に、データ入力、請求の準備をします。
調剤報酬算定と一口に言っても、計算は複雑です。一人ひとりが加入している各種保険、組み合わせによって、割合も上限額も異なります。それぞれを確認しながら正確に積算しなければなりません。何通りもの計算が生じる、と髙橋さん。
普段薬局行ったときには、ただ処方箋を提出し待っているだけでしたが、その間にこれだけの事務作業が同時並行で行われていたことを知りました。

計算業務をしながら、窓口にいらした方の質問に答えたり、医薬品や日用品、栄養食の販売対応も行っています。同時並行で電話が鳴り、隙間をぬって薬剤師のサポート業務として処方箋の処理や薬の郵送準備などもさばいていきます。
さらに、新型コロナウィルス以降は発熱受診の業務も増えました。接触をしない工夫として、薬だけをお届けし、後日請求するという形をとっています。
すなわち、事務作業としては、薬そのものの計算だけでなく、一度未納金として処理し、請求をし、入金をチェックする、という業務が付加されるということ。未納のリスク、回収作業の負担も事務部の肩にかかってきます。
これが月末ともなるとさらに忙しさは倍増です。各保険会社に請求するための確認作業が付加されます。デッドラインが厳格に決まっているので、絶対に終わらせなければならない仕事です。
これらの仕事をわずか14名で回しているのですから、その処理能力の高さは推して知るべしといったところ。これらの仕事に責任を持ち、「自分たちの仕事」としてプライドをもって取り組む事務部の方々は、文字通りの精鋭部隊といえるでしょう。

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このように忙しい事務部を束ねる髙橋さんはキャリア20年のベテラン課長。常にたくさんのアンテナを張り巡らせながら、お客様だけでなくスタッフ一人一人に目を配っています。店舗が拡がるたびにまつもと薬局を下から支え続けてきた頼れる存在です。
業務範囲の広さと忙しさ、そして責任の重さを想像しただけで目が回りそうですが、髙橋さんは常に前向きです。
「各店舗の業種を超えた協力があるので回せていると思います。境界を感じていた時期もありましたが、新型コロナをきかっけに部門の垣根がなくなり、各部門間での話をする場も増えたように思います。」
と、すべてをプラスに転換させて結束を高める秘訣は、「頼まれたことはすぐに、プラスアルファで返したい」という髙橋さんのポリシー。
だれに押し付けるでもなく、その人のために、と取り組む姿勢をスタッフそれぞれが見ているからこそ、「やれ」と言わなくても自然と結束する仕組みができていくのだと感じました。

事務部の皆さん

▲ 事務部の皆さん。左から2番目がベテラン事務課長の髙橋さんです。

事務部 お仕事中

▲ お仕事中の一枚です。

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また、まつもと薬局各店舗に共通しているのは、店舗の居心地の良さ、清潔さ、接客の丁寧さ。このクオリティを維持しているのも、まつもと薬局ならではの人材育成のポリシーの賜物です。
「まつもと薬局の事務として自立するまでには3年」 と明言する髙橋さん。
3年とはまた長くないですか?と尋ねると、 「忙しい業務の中で時間を作って指導することが難しいので、どうしてもOJTにならなざるを得ないという事情と、高校を卒業して初めて社会に出てくる新人に、社会人としての振る舞いから教えなければいけないという事情もありますが、なによりも弊社の事務部はレセプト請求だけでなく、付随する業務が多い、ということが挙げられると思います。 結果として、いろいろなところに目を配ることができて、かゆいところに手が届くような仕事を自立して任せられるようになるまで3年はかかるだろう、と覚悟をしています。」 と腰を据えた新人教育を行っていることを教えてくださいました。
ただ、その匙加減が難しくて…、と笑う髙橋さん。覚えるまでは繰り返しアドバイスすることが必要ですが、やりすぎてしまうと自発的に動けなくなるので、ある程度任せる、自立を促す、という見守りも必要。そのタイミングは一人一人異なるため、観察力が問われます。

こういった髙橋さんの思いと、一人一人のやる気が相乗効果を生み、まつもと薬局事務部の精鋭たちは「言われたことだけをやるのではなく、積極的に提案し改善し、チームワークの輪を広げる事務部でありたい」というプライドをもって、今日もお仕事にあたっています。

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プロフェッショナル集団の活躍が帯広の健康を守る

2回にわたりお伝えをしてきたまつもと薬局の活動、いかがでしたでしょうか。
スタッフ一人一人のプロ意識、仕事にかける熱意、どこをとっても前向きで胸が熱くなるお話ばかりでした。
まつもと薬局はただのお薬屋さんにあらず。積極的に地域の健康を守りにいく、攻めのプロ集団といえるでしょう。