「吾輩は画家である絵画展」~アートでつながるやさしい世界~

その日たまたま手に取った「吾輩は画家である」と描かれたチラシ。
「『なにものか』 は問題じゃないんだよ」
そうチラシが語りかけてきているような感じがしました。
今回は アート展 「吾輩は画家である絵画展」 の開催に先駆けて、実行委員会へお邪魔してまいりました。

「その人の世界観」 が表現できる機会を。
目指すのは「ごちゃまぜの社会」。

実行委員長は、 ご自身も小さなころから絵を描くのが大好きで、 専門学校で本格的にアートを学んできたという髙橋湖々 (たかはし ここ) さん。
現在は放課後児童デイサービス 「ぴすと学舎・プラス」 (札幌市北区) でアニメ・イラスト担当のお仕事をされています。
たくさんの子どもたちと触れ合い、 絵を描いたりモノづくりをしたりしていく中で、 人の価値観や表現できる場面は、 それぞれ違うということを改めて感じたといいます。
「 特にお子さんの中には、今まで絵を描いたり工作をしたりする機会がなかっただけで、 やってみたら面白かった、 という子が結構いらっしゃいました。
この 『ぴすと』 では不登校の子も受け入れているのですが、 小学校の図工の授業の経験がなかったり、 あっても機会が少なかったりという子がいます。
『 折り紙もやってみたらこんなに楽しかった。 はまっちゃった! 』とか、 『 特殊定規って知らなかったけど面白い絵がかけるね! 見て見て! 』とか、『 家でもやりたくなりました。 』とか、そんな声を聞くことがあったのが、 この絵画展をやってみたいなと思ったきっかけでした。 」

機会さえあれば、 「もっともっと表現したい」 と思ってくれる子が増えるのではないか。 その子らしい承認欲求にこたえてあげられるのではないだろうか。
その強い思いに力を貸してくれたのが伊藤真哉(いとう しんさい) さんでした。
 伊藤さんはキャリアコンサルタントの肩書をもち、 普段は、 ご自身の経験や知識を生かして、 障害のある方向けのイベントの企画や運営もなさっています。 「ぴすと学舎・プラス」にも、スタッフサポートとして入られていた際に、髙橋さんのアイディアに出会い、 共同で形にしていって今回の開催となりました。

この絵画展で大切にしたいことを尋ねると、 髙橋さんは迷いのない言葉でこうおっしゃいました。
「本人の世界を一番大事にしたい」

「プロを目指す人、 専門の人なら、極める方向でダメ出しがあるのかもしれませんが、 小学生中学生のうちは 『この世界観も好きだな』 って誰かに言ってもらえる喜びのほうが大事だと思っています。 」
「絵」 という手段で語りかける 「その人の世界観」 を垣間見ることができる、 素敵な展覧会になりそうですね。

SNSから広がる「フラット」な視線

今回の絵画展はSNSでも見ることができ、 感想もSNSに書き込むことができます。
このユニークな発想は、 最初の段階から考えていたとのこと。 足を運ばなくても色々な作品を見ることができるというメリットだけでなく 「匿名性」 ならではのメリットもあると、 実行委員のお二人。

「一番の目的は、 芸術をフラットに見てほしいということ。 『障害者アート』 っていうと、 ”障害があるのに頑張ってるね“ とか、 ”障害者なのにすごいね“ っていうバイアスがかかっていて、 本来の作品の価値ではない視点で見られているのではないかという違和感がずっとあったんですよね。
そういうことではなくて、 いいものはいい、と思ってほしい。 いいって思われるためには努力も必要なわけだし、 そういう意味でも、 いろいろなことがフラットな状態で、 本当に心に響く作品を見つけてほしいですね。 」
と、 伊藤さん。

今回ははじめての試みということもあり、 作品の応募条件を事業所とギャラリー会場のある「札幌市北区の障害のある小学生から高校生」 と限定しましたが、 本来目指しているところは 「ごちゃまぜ」 の感じとのこと。 今後回数を重ねていくごとに対象を限定しないで色々な人に参加してもらえれば、 と話してくださいました。

まだまだ作品大募集中!実行委員会からのメッセージ

「自分の作品が誰かに 『いいですね』 って認めてもらえるということは、 一人ファンができるって意味でもあると思うので、 これをひとつのきっかけとして、 気軽に参加してほしいです。
 また、 今回は実施が北区限定ですけど、 地域を拡大できればと思っているので、 見る側から参加する側へという機会もあるかも。 ぜひ一緒に参加してください。
 ファンだった人が今度は描く側になったときに、またファンができていくようなつながりができていくといいな、と思っています。 」

アートをひとつのきっかけにして、つながりが拡がったら、この社会はもっともっと優しくなれる。 髙橋さんの言葉ひとつひとつに心が動きます。

また、 伊藤さんからは
「作品を出される方に関しては、あくまでも匿名で出せるってところが大きいと思っています。なにかひとつ挑戦してみるハードルとしては低くなっていると思いますので、チャレンジしてみたい気持ちの背中を押す役割になれれば。ですので、あまり気にせず気楽に参加してみてください。もしかしたら自分にも何かの可能性があるかもしれない、って気づくきっかけづくりになればいいなと思っています。
 そして、見に来てくださる方が、自分の好きな作品、興味のある絵をみつけてくださればいいですね。
 福祉の展示っていうとなんとなくみんなに 『いいね』 したくなるかもしれないけど、 障害のあるなしではなく、 自分の心に響いたものにしるしをつけてくだされば嬉しいかな。 」
という優しくて力強いメッセージをいただきました。

実はまだまだ作品は募集中! この記事も一つのきっかけとして、参加してみたいな、って思った方、ぜひ下記へアクセスを!

「吾輩は画家である絵画展」
https://peraichi.com/landing_pages/view/wagagaka
開催期間:2021年2月8日~3月8日
場   所:メトロギャラリー(地下鉄麻生駅)および公式SNS内
facebook⇒ https://www.facebook.com/groups/873722783480223
Instagram⇒ https://www.instagram.com/wagagaka/?hl=ja


作品は公式SNS(期間中公開)でファン投票を行います。 投票という形での参加もお待ちしています。
メトロギャラリーの様子も弊社Twitter などでお伝えしていきます。 遠方で足を運べない方にもご覧いただけます。 ご期待ください!