「報酬」への支払調書を発行する理由

事業者が個人に業務委託を行い、報酬などを支払った場合には、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を発行して、税務署や報酬を支払った相手に交付します。この支報酬等の支払調書は、税法によって税務署に提出が義務付けられている法定調書のひとつです。

2021年1月1日以降、前々年(つまり2019年)に提出している法定調書の提出枚数が「100枚以上」だった場合については、e-Taxまたは光ディスク等による提出をすることが義務付けられています。

さて、そもそもなぜ支払調書を提出する必要があるのでしょうか。

端的にいうと、法定調書の役割は、脱税を防ぎ、適切に課税を行うこと。お金を支払った側、つまり法人や事業主が、お金を支払った際にその事実を届けることで、税務署はお金の動きを把握し、脱税を防ぐことができます。つまり、税務署では、報酬等を支払った側から、報酬等の支払調書をすでに受け取っていますから、個人事業主が確定申告書に添付した支払調書と、税務署が法人等から直接受け取った支払調書を比較することで、確定申告書に記載された源泉所得税額が正確なものであるかどうかを確かめることができます。

なお、報酬を受け取る側への交付義務はありません。つまり、個人事業主や税理士等に作成した支払調書を渡さなくても構いません。ただ、慣例としては、発行してあげることが多いようです。確定申告の時期に発行を頼まれることもあります。

支払調書の記載事項は以下のようになっています。

  1. 支払いを受けるもの:報酬を支払った相手の情報です。屋号のみの記載はNGですので注意しましょう。
  2. 区分:支払った報酬のカテゴリがわかるように記載します。「税理士報酬」「原稿料」などのことです。
  3. 細目:支払った報酬の詳細のことです。国税庁の手引きを以下に引用しておきます。
    • 印税…書籍名
    • 原稿料、さし絵料…支払回数
    • 放送謝金、映画・演劇の俳優等の出演料…出演した映画、演劇の題名等
    • 弁護士等の報酬、料金… 関与した事件名等
    • 広告宣伝のための賞金…賞金の名称等
    • 教授・指導料 ·…講義名等
  4. 支払金額:1月~12月の間に支払が確定したものを記載しますが、ここで忘れてはならないのが消費税と未払分。消費税を含めた金額を記載することと、12/31時点で未払であっても支払うことが確定しているものを記載することを忘れてはなりません。
  5. 源泉徴収税額:天引きされる源泉徴収税額の計算には注意しなくてはなりません。基本的には、支払額に10.21%を乗じた額を源泉徴収税額としますが、報酬等の区分に応じて源泉徴収額の計算方法が微妙に異なるので、よく確認しながら計算する必要があります。
  6. 摘要:特段の理由がある場合に記載します。

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