地域性を活かす施設運営~厚田みよし園の熱い毎日②~
厚田みよし園の危機をV字回復に導いた要因とは。
「職員が離職しない職場」はどのように作られていったのでしょうか。
前号に引き続き、その秘密に迫ります。
離職率が低いのは、働きやすく、頑張りがいがあるから
「離職率が低い」という事実に俄然興味がわきますが、その秘訣はなんでしょうか。
まずは制度的な面からストレートに伺ってしまいましたが、待遇面ではいいかも、と佐立さん。
賃金面での保障は介護業界の中でも自信ありとのこと。また、休みについてもフレキシブルだそうで、シフトで動いてる人は月割りに分散せざるを得ない面があるものの、基本的に休みが取りやすい制度になっています。夏休みも自分で選んでとれたり、年末年始には休みを入れたりなど、処遇改善に力を入れていることがわかります。
でもきっと、それだけではないはず。インタビュー開始からのわずかな時間でも、すでに並々ならぬ熱量を感じたくらいですから、きっとほかにも「働き続けたい職場」としての秘密があるはずです。
その解は、三浦さんの言葉の中に見つかりました。
「何か行動しても、業務が連動しないというのはやる気がなくなりますよね。『どうせ言ってもしょうがないよね』っていうことになりかねない。でもここはそうではないんです。声を出したことや、目標に対して、足並みがそろうのがみよし園のいいところです。」
「僕がここに来た当初は、ここでどうしようかな、やっていけるのかなと悩みましたが、今や、周りの人がレベルアップをしたことによる焦りのほうが大きくなるくらい、雰囲気が変わりました。現場を担う人、プランを作って寄り添う人、その人たちの連携や頑張りを見てると負けてられないなっていう気持ちになりますね。」
職員同士がお互いを尊重し合って連携する。好循環が好循環を生んで、施設が成長をしているということですね。納得です!
名物職員の真打登場!
さて、いい流れが出来上がってきたのはここ1-2年ということですが、そのきっかけになった出来事やキーパーソンがいたのでしょうか。
そう問いかけると、満場一致で「それは東川事務長だよね」と名前が挙がりました。
どんな方ですかと畳みかけると、
「とにかくパワフル」
「目標にできる上司」
「動くし面白い」
「問題を棚上げしておかないし、仕事を振ったままにしないので信頼できる」
…と次々と繰り出される魅力的なパワーワード。
その信頼度の大きさがわかります。
「この業界では、現場側のビジョンと運営側のビジョンに相違があったり、お互いのビジョンが見えない部分があることが慣例のようになっていますが、今の厚田みよし園で働くに関しては、実現可能なビジョンがいつも見やすいのが特徴だと思います。」
「それと、うちは上の人が率先して現場で動くんです。事務長も、資格も経験も豊富なので、入浴介助とか食事介助とか、どんどん入ります。」
この事実からも、「投げっぱなしにしない」ことへの信頼感、伝わりますよね。
事務長が見ていてくれる、という安心感がやりがいにつながり、そこにみんなが呼応する、という関係が感じられます。ここがスタートだったんだ!と改めて納得です。
右から
事務長の東川宏一さん
総務主任の佐立唯(ただし)さん
さて、実際に事務長にお会いすると…
とても物腰やわらかで、ゴリゴリに施設改革をした、という印象ではありません。
上から威圧するのではなく、一緒に動かしていこう、という気持ちがあふれ出ている方でした。
実はこの日は取材とともに、システム上の打ち合わせをさせていただいたのですが、打ち合わせの内容からも、事務長の目線は常に現場にあることを感じました。
新しいことも積極的に採用し、外国人実習生の受け入れの際には自ら現地まで飛んでいって面接を行ったそうです。そうして迎え入れた実習生はとにかくまじめで働き者。すぐに厚田みよし園に溶け込んで毎日がんばっています。
そして、その事務長を連れてきてくれたのが、理事長です。
フロントマンとしての施設長、佐立主任、大井ケアマネをはじめとした総務の人や、10年以上のベテランケアワーカー、そこをうまくつないでくれる「リンクマン」の事務長。粒ぞろいの立役者さんたちがお互いを信頼しあうことが、施設をうまく回す原動力になり、その結果、ここに住まう方々にとっても安心できる施設であれる。
住まう人、働く人、運営する人、それぞれにとっていい流れができているということですね。
厚田みよし園がこれからも地域に根付いた、かけがえのない施設でありますよう、これからも応援しています。
ありがとうございました!