春だ!アートだ!ゆうあいアート展
ここは函館市内、五稜郭からほど近い銀行のギャラリー。
現在、こちらでは侑愛会の利用者さんの作品が展示されています。小さなスペースから、力強さ、やさしさ、癒し…色々な発見が生まれます。
今回は、「ゆうあいアート展」のご紹介です。
理屈ではない。まずは見てほしい。「いいものはいい」
ゆうあいアート展は今年で4回目を迎えます。
会期は 2021年4月2日まで。まだまだ楽しめます。
また、会期中2回の入れ替えもあり、1度だけでなく何度でも楽しむことができます。
銀行にきて、ついでに足を止めていかれるお客様の姿も。
今までのアンケートの中には「とても癒されました」という声をはじめとしたさまざまな反響をいただいているそうです。
確かに、どの作品も魅力的。つたない感想を並べるよりも、まずは見ていただきたいと、心から思います。
言葉はいらない。
いいものは、いい。
それに尽きます。
今までは、各施設内の日中活動や、家での余暇として、時には機能訓練を兼ねて、取り組んできた作品は、周りの方々しか目にする機会がありませんでしたが、このように「アート展」として展示することで、我々一般市民も触れることができるようになりました。
アート展開催について、侑愛会の職員さん(函館青年寮通所部支援員 倉見信秀さん、ワークショップはこだて課長 原田智子さん)にお話を伺いました。
「このアート展では、こんなに自由なアートもあるんだよ、と知っていただく機会にもなります。新型コロナでふさいだ気持ちが続くことも多いですけれど、利用者さんののびのびとした、力強い作品を見て、元気になったり、癒されたりしてほしいです。 」と原田さん。
作品には名前とともに、作品の説明や、職員とのやりとりで表現された気持ちなども添えられていて、職員と利用者の心の距離の近さを感じられるのも魅力の一つ。
「実際、我々も作品から癒されたり、作品に取り組む姿に元気を貰ったりします。たとえば、このダウン症の方は赤と青が好きで、絵に取り組むときも、クーピーペンシル©の赤と青の減りがとても早いのですが、補充するたびになんだか嬉しい気持ちになります。 」と倉見さん。
※過去のアート展の写真からお借りしました
いろんな方々に見てもらい、感想をいただく中で、作品に取り組むご本人の励みにもなっているそうで、「次はどの展覧会にだそうかな」「もっと大きいのを作りたい」「終わったらここに飾ってほしい」「みんなよろこんでくれましたか」といった次につながる気持ちが続々と聞かれるとのこと。
例えばこの貼り絵を描かれた方は、高齢ではありますが、日中の作業の手を抜くこともなく、余暇時間でずーっと作業しているそうです。その集中力やエネルギーは作品からも伝わりますね。
さらに、実際に出品されているご本人だけでなく、ご家族の方からも「こんな風に自分の家族の作品が展示されるなんて、今までの人生経験にもなかったし、その作品が誰かの心をひきつけるなんて嬉しいことです。 」という声をいただいたそうで、展示されたことで改めてその作品の良さをかみしめることができるという機会にもなっています。展示された作品とともに、一緒に過ごされた幸せな気持ちも思い出すことができるという方もいらっしゃるそうで、アートが誰かだけのものでないということを実感させられます。
「ゆうあいアート展」自体は4回目ですが、侑愛会の中にはほかにも展覧会を開催されているところもあります。
過去にも20年以上、陶芸やタイルモザイク画の展示会「叶夢ing展(かみんぐてん)」を開催してきました。
また、「クッキーハウス」と「ワークセンターほくと」では今回、新型コロナウィルスに配慮し、オンラインでの展覧会開催をしています。直接足を運べない状況でも、作品に触れることができる新しい試みです。
なお、この「ゆうあいアート展」、4月2日(金)から4月5日(月)までは、「第8回自閉症啓発デー」ともタイアップされるそうです。 ぜひ足をお運びください!
アート展を開催し続ける侑愛会
侑愛会の創作活動の歴史は古く、日常活動の中に積極的に取り入れられていましたが、どちらかというと余暇的な側面がありました。
「ワークショップはこだて」の小谷高大施設長はこのようにお話をくださいます。
「私たちが仕事をし、学生さんが日中に学校に通うように、障害のある方に関しても、グループホームや施設から通う場所というのがありますが、長年この場所が『働く場所』とイコールになっているところもありました。障害の重い方々も生産的な活動に従事できることが尊く、そこを目指していくことが当たり前のように思われがちでした。
でも、近年の障害観や世の中の見方が少しずつ変わってきて、
『いろんな日中活動のありかたがあっていいんだ』 『いろんな活動があっていいんだ』という流れになっているように思います。
私たちも、その人らしさを表現できる手段が、たくさんあっていいと、そう思っています。そのひとつが創作活動です。 」
「その人らしさ」を表現できる手段は千差万別。
なるほど。このスタンスが皆さんののびやかな表現活動につながっているのですね。
それらの作品を私たちも目にすることができる機会が増えたことは、本当に嬉しくありがたいことです。
このほかにも、侑愛会のアートな日常については今回の取材で沢山見せていただくことができました。
次回はその様子をもう少し詳しくお伝えします。ご期待ください。
◆アート展情報
★ゆうあいアート展
場所:北陸銀行五稜郭支店アートギャラリースペース
(函館市本町12-1)
会期:2021年2月1日(月)~4月2日(金)
時間:9時~15時(窓口営業時間)
★2021 オンラインアート展(クッキーハウス・ワークセンターほくと)
クッキーハウス・ワークセンターほくと 2021 オンラインアート展
~With the harp played by Chizuko Ikeda~
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