健太さんのやさしい世界
健太さんと制作活動の出合い
社会福祉法人藻岩この実会の北の沢デイセンターは、ひとりひとりの利用者さんの力が発揮できる場所、環境を考え支援をしている生活介護事業所です。
除雪や畑仕事をこなす外作業班、受託作業を行う中作業班や、カランコ織という手工芸作業を行うグループまで、様々な活動を提供しています。
健太さんは平日、グループホームからこの北の沢デイセンターに通っています。
もともとボールペンで紙に線を描くことや、紙を細かくちぎることがお好きだったそうですが、数年前畑仕事をする外作業班から室内でそれぞれの自立課題に取り組むトランキーロ班に移ったことと、いくつかの偶然が重なり、絵画制作活動を始めました。
健太さんが絵を描く時は、たいてい集中して描き続け、描き終わると自らペンを置きます。
機嫌の悪い時や気が向かない時は紙をちぎる作業をすることもあります。
一時期、描き終わったものを破いてしまうことが続き、職員たちであれこれ考えた末、今では木板に色鉛筆で描くスタイルに落ち着いているとのこと。
こうして描きあげられた作品はどれも曲線が柔らかで、色とりどりで、優しい世界が広がっていきます。
描いた作品をいろいろな方に見ていただく機会も少しずつ増え、3月9日から開催されたあらかるアート展にも出展しました。
開催期間中、ご家族とヘルパーさんと共に会場を訪れた健太さん。お写真をお願いしましたが「恥ずかしい」とのことで、ご家族に許可をいただいてそうっと後ろから撮影させていただきました。
96もの作品が並ぶ大きなアート展となりましたが、健太さんの作品はその中でも相変わらず優しく、見る人の心を温かくさせるものでした。
自分のペースを大切に
絵画制作だけでなく、健太さんの好きなことはたくさんあります。
昼食後、職員の手を引いてお散歩したり、個別活動では車の整備場を訪れて車を眺めたり。
ドライブや調理活動も大好きです。
住まいの場であるグループホームでも健太さんらしいペースを最優先に、毎日を元気に過ごしています。
朝は早く起きてきて「おなかすいたよ」と朝食ができるのを待つ健太さん。
居間にあるマッサージチェアが定位置だそうです。
子供のころから親しんでいるクラシックのCDを聞いたり、夕食後はメンバーと一緒にスーパーマリオで盛り上がったりすることもあります。
好きなこと、気持ちよいこと、は人それぞれですが、健太さんやその周りにはいつも優しい時間が流れていることを感じます。それは「健太さんらしさ」を大切にしたいというご家族や職員の気持ちもあってこそ。これからもひとつひとつのペースを大切に、毎日が楽しく過ごせますように、と願っています。